目元を隠す腕を取った小松くんの目は、綺麗に潤んでいた。
まるで…捨てられそうになるのを嫌がる仔猫のよう。
「行かないで…俺の傍にいて……。
知紗に…隣に、居てほしい。
…俺の母親のように、死なないで」
ゆっくり体を起こした小松くんは、そっとあたしを抱きしめた。
あたしを大切そうに抱きしめる小松くんの手は、静かに震えていた。
「……」
何だろう。
嬉しさが、止まらない。
小松くんに抱きしめられているのが、こんなにも嬉しい。
ほっとする。
大地に抱きしめられたけど、違う。
あたしを抱きしめるのは…小松くんが良い。
あたしを大切に、でも離さない、優しい抱きしめ方。
「恭真…」
あたしはポツリと呟く。
その瞬間、あたしを激しい頭痛が襲った。
遠のく意識の中、あたしの名を叫び続ける恭真の声が聞こえた。
ああ…
あたしは…
違う……
チサは……
恭真が、好き。


