すーすーと規則的な寝息を繰り返す小松くん。
あたしは起きないよう、その髪に触れる。
凄く、
あったかい…。
太陽をよく受ける綺麗な黒髪。
随分長く屋上にいたみたいで、太陽の光が弱い今でも、あったかい。
猫を触っている気分になって、和んでいると。
…その手を、掴まれた。
驚いたけど、不思議と振りほどきたい気持ちはなかった。
「…好きだよ、知紗」
「ッ」
突然彼は呟く。
そして顔を隠すように、もう片方の手で目元を覆う。
「俺は知紗が好きだから…。
知紗の幸せが、新野と一緒にいることなら、俺は何も言わない。
知紗が好きだから、俺は知紗の幸せを、願うつもりでいた。
でも…やっぱり…知紗がどこか別の男の元へ行くのは…辛い」
目元を隠す腕の隙間から、水が一滴、流れ落ちる。
あたしはその涙に、そっと触れた。
「…独占欲強い男でごめん。
でも俺は…知紗しか、考えられない。
…知紗。
俺の傍にいて」


