チャイムが鳴ったので、大地と別れ教室に戻る。
ずっとその間も、心の中にあるモヤモヤが取れない。
何で…あたしは…何を忘れているの?
「知紗。
次の授業サボりなよ」
「ノートは私が写しておくからさ」
何故かニヤニヤしている花菜と紅羽。
何でサボりを勧められるのだろうか?
不思議に思ったけど、こんな状態じゃ授業に集中できない。
お言葉に甘えることにした。
先生のまだ来ていない教室を出ようとすると、近くの列にいた総司が笑った。
「知紗チャン。
屋上行ってきなよ。
絶対気持ちいいだろうからサ」
「あっ…うん」
教室を出ようとすると、窓際の席にいる神崎が本から目を離さずにあたしに言う。
「何があったか知らないけど。
恭真が逢沢の彼氏なのは本当だ。
恭真がどれだけ傷ついているか知ってやれ。
このまま恭真を放っておくと、演技に支障が出る」
「演技?」
「近々文化祭あるだろ。
逢沢と恭真で主人公やるんだから。
ぎこちないままじゃ、ボクらスタッフに迷惑かける」
「…うん」
「早く戻れ。
恭真と一緒にいた逢沢、幸せそうだった。
それに、恭真も嬉しかったはずだろ。
逢沢だけだから、恭真を受け入れたのは…」
ペラリと本を捲る音が聞こえた。
あたしは教室を出て、屋上へ行った。


