「…知紗のこと嫌い?」
出来る限りの笑顔を作りながら、俺は聞く。
正直に白状するけど。
俺が本物の笑顔を作るのは、知紗たちの前だけ。
告白とかで他の生徒の前では、作り笑顔だから。
それに、甘い言葉を言うのも知紗だけ。
仲の良い女子である紅羽や花菜の前では、絶対に言わない。
あの2人の前では、あくまで爽やか王子だ。
知紗の前では、本当の俺が現れる。
相手を赤面させる甘い言葉を吐き、独占欲も見せる。
それが本当の俺。
「ちーちゃんのこと?
よくわかったね、嫌いだよ」
「どこが嫌いなの、知紗のこと」
知紗には紅羽と花菜だけで良い。
本人も関島早苗のことは、嫌いっていうか、苦手そうだし。
自分を“あたし”と言うのがその証拠。
だから君には、嫌われても良いはずだ。
「男好きな所とか、か弱い少女とか悲劇のヒロインを演じる所だね」
「…へぇ」
「恭真クン嫌じゃないの?
ちーちゃん、きっと裏では他の男と付き合っているはずだよ?」
「フフッ…アハハハハハハハハッ!」
思わず夜の住宅街で大爆笑してしまった。
笑いすぎて、お腹が痛くなるほど。


