「私、大地の彼女だから」
 
いつかの校舎裏に、私は片平さんを呼び出し、正々堂々と言い放った。
 
長身の女の子は今日はついてこなかった。こんなことを云ったら、また泣かれるかな、なんてちょっと思ったりした。
 
大地の彼女――自分の言葉の中に、嬉しさがこみ上げる。だけど舞い上がってはいけない。この子の気持ちを考えると、冷静に接しなければいけないのだ。泣いて紗生に訴えるほど、大地のことが好きな子だ。
 
ひとつの恋が成就すると、どこかで誰かが傷つくと、何かで聞いた覚えがある。南生と伊津くんがくっついた時だって、私は陰で小さな胸を痛めたものだ。
 
片平さんを傷つけてはならない。けれど、傷つけてしまうような真実を告げるというのも、恋に大事なプロセスだ。と私は柄にもなくポエトリーをさえずってしまう。