ツナマヨか。私の大好物だ。

「あんたもそんな男子高の前でビラ配るとか、イタズラ――まあ、結果私にとってはマリア様の如く? 啓蒙活動だったんだけど、そんなつまんないことやめて恋に走りなさいよ」

「うん」
 
私はまた生返事をしておにぎりにぱくついた。

「男子校生の友だちはたくさんいるでしょう? その中でいいひとでも――ってか、コラ! 何やってんの! 私のおにぎり!」
 
やっと私の行動にマナミは気がついたようだった。

「だってぇ、私、今、金欠で……ふがふが」
 
取り返される前に口に詰め込んだものだから、語尾が言葉にならなかった。

「返せ! コラ!」

「ごほん、ごほん。だってぇ、私はマリア様で、キューピットなんでしょう?」

「食べ物の恨みとは別!」
 
マナミは机に両手をついて、私の口から半分はみ出ているおにぎりを取り返そうとした。