クラスメイトの中には、あたしのことを押す千代を目撃した人もいたかもしれない。


けれど、誰一人としてあたしを擁護してくれる人は現れなかった。


何て答えたらいいのか分からずに黙り込むあたしに痺れを切らした先生。


「とにかく、みんなで片付けましょう」


先生は雑巾を持って来てみんなに配ると、床についた油を拭くように命じた。


もちろん、それを快く思わない人は多い。


「つーか、なんで新村さんがこぼした油をうちらが拭かないといけないの?」


「そうだよね。もとはと言えば、新村さんがこぼさなきゃよかった話じゃん。つーか、よくみんなに迷惑かけといて平然としていられるよね」


周りの声がチクリチクリとあたしの胸を針のように指す。


結局、あたしがこぼした油の掃除で美術の時間は終わってしまった。