西園寺家は学校から2駅分の距離にあった。
「な、なにこれ……。これが家なの……?」
電車とバスを乗り継いで西園寺家の門扉の前に立ったあたしは思わず声を漏らした。
広大な敷地の中に立つ100坪以上はあると思われる大豪邸。
門扉にインターホンが付いていなかった為、仕方なく門扉を開けて庭に足を踏み入れる。
敷地は和の空気が漂い、小さな池には大きな鯉がひしめき合うように泳いでいる。
水が足りないんじゃないかと心配になるほど大きな鯉に目を奪われる。
こいつら、金持ちに飼われて毎日良い物食わされてるんだろうな。
皮肉めいたことを想いながら敷石の上を歩き辺りを見渡す。
アプローチから玄関扉まで数十メートルもあるお屋敷にやってきたのは生まれて始めてだった。
庭はまるで静かなジャングルのよう。
木々が家を覆い隠す様にうっそうと伸びている。
そのせいだろうか。
この家に薄ら寒い印象を覚えるのは。



