……――遅い。
遅すぎる。
母が電話に出てからもう10分以上経っている。
家に電話をかけてくる人なんて、遠方に住んでいる祖父母か親戚ぐらい。
母の友達ならば携帯にかけてくるだろう。
わざわざ家に電話をかけてくる相手と母がこんなに長話をしているなんておかしい。
不思議に思ってソファから立ち上がろうとしたその時、リビングの扉が開いた。
「お母さん、電話長かったね?誰だったの?」
そう尋ねたあたしは母の異変に気付いた。
母の顔には先ほどまでのにこやかな表情は消え失せ、目を吊し上げて何かに怒っているように見えた。



