愛海はさっきから何もしゃべろうとしない。
ただ悔しそうに一点を見つめたままレモンティーをストローですすっている。
現実に起こっていることが信じられないんだろう。
今までずっとお姫様のような扱いを受けていた自分がどうしてこんなひどい扱いを受けるのか理解できていないようだ。
莫大な寄付金を出す愛海の家を敵に回すような扱いをする学校側。
西園寺カンナは……いったい何者なんだろう。
新村やクラスメイト達だけでなく、担任まで支配するなんて……。
いや、それだけじゃない。
校長や教頭、他の先生もカンナに対して異常なまでに気を遣う。
いつもニコニコと楽しそうに笑っているカンナ。
天使のような笑みには、どこか違和感を感じる。
それがなにかは口に出して説明することは難しい。
ただ、とてつもなく黒い何かをカンナはあの笑みの下に隠している気がしてならない。



