翌朝、玄関先で革靴を履くあたしに母がこう言った。
「ねぇ、明日香。来週、テストでしょ?殺人を犯した友達のことなんて忘れて、しっかり勉強するのよ。またお父さんとお母さんに恥をかかせないでちょうだい」
母にとって身近で起きた殺人事件よりも、娘のテストのほうがよっぽど重要らしい。
「分かった。行ってきます……」
朝から気が重くなってしまった。
玄関を開けて外に出ると、隣の家の小林さんがあたしに気付き駆け寄ってきた。
母と同年代の小林さん。年は40代後半ぐらい。
とにかくおしゃべり好きの噂好き。小林さんにナイショ話をすれば、翌日には近所の全員が知っている。



