頭の中にじわーっと生暖かい何かが広がる。
今までどうやったらこのどん底の貧乏生活から抜け出せるか必死に考えていた。
友達と遊ぶのも我慢して、節約して、バイトを増やして、必死に働けばいつかは報われる日が来ると思ってた。
だけど、違う。
この母親とともにいたら、あたしは一生貧乏生活のまま。
報われる日なんてくるはずがない。
寝室の扉を開けると、二人が同時に振り返った。
「……――ヒカリ……?お前、それ……何持ってるんだよ!?」
包丁を握りしめるあたしに気付いた哲が悲鳴にも似た声をあげる。
「ひ、ヒカリってばどうしちゃったのよ~!!冗談きついわぁ~」
ふざけているとでも思ったのか、母がヘラヘラと笑う。



