近くの本屋にある無料の求人誌をもらう為に家を出る。
その前に、もう一度哲に電話をかけてみたけれど呼び出し音が鳴るだけだった。
求人誌を手に入れ、家へと帰る途中、前から歩いてきた女と目が合った。
「……――あれ?ヒカリちゃん~?わー、ヒカリちゃんだ~!!」
うるさいぐらいのハイテンションで駆け寄ってきたカンナに嫌気がさす。
「うるさい。アンタってなんでそんなに馴れ馴れしいのよ」
本当はカンナのことは好きではない。大っ嫌いだ。
あたしを惨めな気持ちにさせた張本人。
けれど、パンをくれたのはカンナだ。
それがトイレに落ちたパンとはいえ、あたしはあのパンのおかげで今日も生き延びられた。
「え~?そうかな?」
「新村とは……一緒じゃないんだ?」
周りに目を配ってそう尋ねる。
「うん!!ヒカリちゃんも一人なのっ?」
「そう」
うなづくと、カンナがあたしの手に握られている求人誌に気が付いた。



