『高校を卒業したら結婚しようか』と哲に言われたこともある。 言われた時は話半分に『そうだね』と返した。 少し前倒しになるけれど、それもありかもしれないと今なら思える。 最近二人の距離が少しづつ離れて行っているような気もするけれど、何とか修復しよう。 哲からの電話がいまだにないのが少しだけ気にかかるけれど。 アパートに着くと、玄関先に母のお気に入りのヒールがなかった。 「ふーん。いいご身分だね」 ポツリと呟き自分の部屋に入ると、あたしは取り出したパンに脇目も振らずかぶりついた。