「途中まで一緒に帰ろう」という愛海の提案で、あたし達4人は下駄箱に向かって歩き出した。
「つーかさ、西園寺カンナの父ちゃんってすげぇ金持ちなの?」
千代の言葉に耳を傾ける。
「そうなの?知らない」
興味なさそうに答える愛海。
「今日職員室に行ったら先生たちが話してたんだよ。西園寺さんだけは怒らせちゃいけないって。怒らせたらどっかに飛ばされるって」
「親がお金持ちっていうだけでそんな権限があるわけないよ。お金持ちっていったら愛海だって超お金持ちだし」
もっともらしく言う明日香に千代がうんうんと頷いて同意する。
「それにしても、西園寺の奴ムカつくよな~。『楓子ちゃーん!』とか言って新村について回ってるし気持ちわるっ。ていうか、あいつのことちょっといじめたらまたどっかに転校しちゃうんじゃね~?」
「あはは~。だよね~」
今は新村のことも西園寺のこともどうだっていい。
ケラケラと楽しそうに笑う千代に合わせて笑いながらも、あたしの頭の中にあるのはパンのことだけだった。



