武田さんのことがあってから、
朝、いつもの場所には行かず、
遅刻せずに学校に行っている。


でもやっぱり1番混み合う時間帯は苦手。
だから早めに家を出て、ガラガラの通学路を通って登校する。

気付いたら、秋は秋でも少し肌寒くなって、
ジャケットを羽織る季節になった。
もうすぐ冬が来てしまう。

秋って短い。
季節の中で私が好きな秋は、
あっという間に通り過ぎてしまう。


悲しいな。
なんだか、胸が痛くなる。


遅刻しないようにしてから
数週間。まさととは話していない。

武田さんとちゃんと話せたんだろうか。

隣の席で武田さんを見る限り、
もう元気になって、
きっとちゃんと解決できたんだろーなって
思う。
そもそも私が心配する必要は
全くないんだけど。


学校では文化祭の準備で、
クラスのみんなは
和気あいあいと盛りがあって、
放課後まで残って作業をしているらしい。

学級委員長をやっている小林さんが
いつも色々と話してくれるけど、
私は一度も残ったことがない。
だけど、今日は
文化祭前日で間に合わないから
助けてと小林さんに言われ、
私まで一緒に残ってしまった。


助けてと言われて嫌な気分でもなく。。
素直に言えば嬉しかったかもしれない。

何を手伝えば。。。小林さん。。。
っと聞くと、

「これこれ!
買い出しの紙!これ買ってきて欲しいの!
明日の材料!
先生にお願いしてたんだけど、
小麦粉忘れられてて。。。

クレープ屋なのになきゃ困るでしょ。
ほんとうちの担任抜けてんだよね」

「わかったー。
近くのスーパーで買ってくるね」

ラッキー外に出られる!

「あっでも結構重たいから、
誰かと一緒に行った方がーー」


「あっ俺手伝うよ」


「え?」
小林さんの顔が真っ赤になる。。
誰だ?っと思い振り返ると、
まさとだった。。。

げっ

「これ重たそうだから男いた方がいいだろ。」

周りからの視線を感じる。。。
もー最悪。

「じゃあすみませんが、お願いします」


「矢野ーおれ買い出し行ってくるわー。そこ頼むなー」

はぁーずりー俺も外でたいー!

こら!お前ここ担当だろ!逃げんな。。

「じゃ!」