彼女のあまりにも的を得たクレームに、部長は思わず笑ってしまったそうだ。
部長が一目置く彼女は、当時から『デキる女』として際立っていた。
それからというもの、俺は彼女の事が気になって仕方が無かった。
部長から散々聞かされた逸話の数々。
そして、自分の目で見たあの日の光景。
どれを取っても、彼女は他の女子社員とは一味も二味も違う。
いつしか、特別な存在になりつつあった。
けれど、直接的に彼女と仕事をする事が無く、いつでも風の便りで聞く程度。
菓子部門や一般食品部門の特売データを出して貰おうと事務所に行っても、結局は菓子部担当もしくは一般食品部門担当の事務員が処理してくれる。
管理課の事務員が俺に用事があり訪ねて来た事もあるが、それは彼女では無かった。
同じ建物内にいるのに接点が無い。
近いようで遠い存在。
だから、余計に気になってしまう。
『早坂小町』という存在を。
そんな想いが日に日に募り、ある日、俺は行動に出てみる事にした。
菓子部門の販促一覧のJANコード表を印刷して貰う為、菓子担当のバイヤーに指示せず、自ら管理課へ赴いた。
すると、事務所内に一歩足を踏み入れた俺は、一瞬にして女子社員に取り囲まれてしまった。
自慢じゃないが、そこそこ顔はイケてると思う。
女の園に独身イケメン社員が足を踏み入れれば、嫌でもこうなって当たり前だが……。
けれど、彼女は違った。



