その後は、部長から彼女の逸話を沢山聞かされた。
葬儀の仕出し弁当の依頼を受けたとある店舗で、詰め作業の応援手伝いに彼女が訪れた時の事。
小型トラックの荷台に仕出し弁当の他、会葬御礼品やその他諸々積み込んで、いざ配達となった時。
配達出来る男子社員が、新入社員しかいなかったそうだ。
その日は生憎店長は公休日で、チーフは遅番で出勤前。
その他にもう1人いる男子社員は研修で不在だったそうだ。
そして、その新入社員の男が発した一言が彼女の逆鱗に触れてしまったとか。
『免許自体はマニュアルで取りましたけど、取ってからはオートマ車しか運転した事が無いんで、このトラックを運転出来そうに無いです』
事故に遭ってからでは遅いから、無理して運転しなくて正解のように思えるが、彼女の考えは違った。
ブチっと切れた彼女はすぐさま部長のもとへ電話を掛けて来たそうだ。
そして、彼女はこう口にした。
『新入社員の子が、免許があるのにマニュアル車のトラックで配達するのは自信がないそうです。なので、私が運転して配達してもいいですか?』
勿論、部長は即答で許可を出した。
お客様を待たせる訳にはいかないから。
当然、助手席にはその新入社員を乗せ、荷物を下ろす人員に当てるように指示を出したそうだ。
そして、電話を切ろうとした、その時。
彼女から特大のクレームを受けたそうだ。
『来年の入社試験の項目には、マニュアル車を運転する実技試験を入れるべきです!履歴書の文字に踊らされること無く、使える人材を採用して下さい!でなければ、配達手当を請求させて頂きますから』



