オープン初日を終え、締め作業をしていると……。
「麻生」
「はいっ!」
部長が小さな袋を手にして現れた。
すると、その袋から小さな物を取り出し、徐にそれを俺へと放り投げた。
俺はそれを咄嗟にキャッチした。
「それは、お前の分だ」
「え?」
「早坂……、名前を言っても分からないよな?今日、午前中にカメラを届けてくれた事務員がいただろ?」
「あっ、はい」
「あの子からの差し入れだ」
「へ?」
「俺の営業車のサイドミラーに、これが掛かってた」
そう言って、部長は手にしている袋を掲げた。
「あの子は、気遣いが出来る子なんだよ」
部長は袋を机の上に置き、椅子に腰かけた。
「今時の女子社員とは一味違うぞ」
「違うとは………?」
「そうだな。勤務態度は至って真面目だし、何事に於いても最善を尽くす。それが理不尽な指示であっても、決して手を抜いたりせず、出来る限りの事をしようと努力を怠らない」
「へぇ~、ホント、今時の子にしては珍しいですね」
「あぁ。それに、気遣いは社内一だ。こんな事をしてくれる事務員は他にはいないぞ?」
そう言って、部長は袋から小さな小瓶を取り出し、蓋を開けた。
俺の手元にも同じモノがある。
オープニングセールで疲れた体を労わるようにと、栄養ドリンク剤が。



