目の錯覚かと思い、もう一度視線を落としてみるものの、自動ロックが掛かり画面は真っ黒に。
慌てて親指でフリックすると―――――、
「へっ?!」
「…………もしもし?」
絶妙なタイミングでかかって来た電話に出てしまったようだ。
しかも、電話の相手は『麻生大和』……そう記されている。
手にしたまま固まっていると、
「もしもし?…………もしもし?おい、聞こえるか?」
スマホから聴こえて来る声は、紛れもなく彼の声。
少し低めの落ち着いた美声だ。
スローモーションのようにゆっくりと耳に当てる。
幻聴かと思い、耳を澄ませると……。
「おい、聞こえてんだろ?」
やっぱり、彼のようだ。
「………はい」
「おっ、やっと返事した」
「…………こんな時間に何ですか?」
初めての彼との通話は他人事のようで。
緊張というより、現実が信じられず、淡々と言葉にしていた。
すると、
「30分後に迎えに行くから、用意しとけ」
「………え?」
彼の言葉に唖然とした私は聞き返そうとしたが、既に電話は切られた後。
無機質なツーツーという通話終了音が聴こえてくる。
これは一体、どういう事?
スマホを手にして着信履歴を確認してみると、確かに通話をしたようだ。
画面には1分3秒と表示されている。
彼は、…………何て言ってたっけ?



