志帆ちゃんの言う事が本当だとしても、私との賭け勝負に関しては合点がいかない。
あんな風に吹っかけてまでする意味が解らない。
余程の暇人か、それとも相当な意地悪男か。
まぁ、恐らく後者だろうけど。
「どっちにしても、もう関係ないよ」
「関係ないって?」
「だから、興味もなければ意地を張る理由もない」
「でも、せっかく………」
「心配してくれてありがと。志帆ちゃんの気持ちだけで充分だよ」
志帆ちゃんには薄々バレていると解ってた。
この数日間、毎朝髪をブローして巻いてみたり、アイシャドーのカラーを変えてみたり。
年末の寒い時期なのに通勤にスカートをチョイスしてみたり。
『女』を捨て始めていた自分に気付き、もう少し努力してみようと頑張っていた事を。
でもね、もうどうでもいい。
彼がどうとかじゃないんだよ。
頑張っている姿も馬鹿にされた気がして、疲れちゃった。
だって、ほんの少しでも私に興味があるなら、視線くらい合わせてくれたって良かったのに。
髪型が似合わないだとか、化粧が濃いとか、何でも良かったんだよ。
罵倒されようが、冷やかな視線を向けられようが。
ほんの一瞬でいいから気付いて欲しかったんだよ。
でもそれさえも、彼には届いて無かったんだよね。
1人で空回りして、頑張ってる自分が滑稽に思えて……。
好きになって欲しいとか、そんな大それた事じゃない。
誰でも良かった。
志帆ちゃんのように『早坂小町』として見てくれる人が………欲しかっただけ。



