ガチャッと音を立てて後部座席のドアが開けられてしまった。
「おい、降りろよ」
「………」
「お前、それ作戦か?」
「へ?」
「俺に風邪を引かせて、看病する気なら諦めろ」
「はっ?」
「俺はそんなに軟じゃねぇーよ、残念だったな」
「ッ!!」
呆れた!
私はそこまで落ちぶれてないわよ!
失礼しちゃうわねッ!!
頭に来た私は颯爽と車から降りた。
「フッ、最初からそうやって大人しく降りればいいものを……俺にドアを開けさせたのは、お前が初めてだ」
「ッ?!」
はぁっ?!
もしかして、さっきのは演技だったの?
嘘でしょッ?!
呆気に取られていると、彼はアパートへと歩き出した。
「モタモタしてないで早く来い!」
「……」
返事もせず、追う事もせずにいると。
「もしかして、俺が襲うんじゃないかって変な想像してんのか?」
「ッ」
「勘違いするな。お前に渡したい物があるだけだ」
「じゃあ、ここで待ってるから持って来てよ」
「フッ、来なくていいのか?」
「………どういう意味?」
「お前の為に教えてやろうと思っただけだよ」
「………え?」
「俺を落とすなら、俺の部屋を覚えておいた方がいいんじゃねぇーの?」
「ッ?!」
「別にいいならいいけど、俺は」
彼はそれだけ言うとアパートの階段を上り始めた。
本当は行きたくない。
行きたくないけど、行くしかなさそうだ。
彼を落とす為には―――――。



