身支度を終えた私と志帆ちゃんは店舗裏口から外へ出ると、私達の気配に気付いた彼が駆け寄って来た。
搬入口に止められた営業車。
その隣にもう1台の営業車が止まっている。
1台は麻生さんが乗って来たと思われるスポーツワゴン。
もう1台は1BOXタイプの営業車だ。
「寒いから車に乗って待ってていいから」
「………はい」
彼は言い終えると、再び積み込みに戻って行った。
私は志帆ちゃんと共に麻生さんの営業車の後部座席に乗り込んだ。
「先輩。麻生さん、優しいじゃないですか」
「今だけだよ。……志帆ちゃんがいるからじゃない?」
「そうかなぁ?だって、寒いと思って、車の中を温めておいてくれるなんて普通出来ませんよ?」
「………さっき、来たばかりだからでしょ?」
「………そうなのかなぁ」
志帆ちゃんは、小首を傾げながら携帯のメールをチェックし始めた。
私は、すぐ隣りで積み込みをしているのをじっと眺めていた。
お弁当が詰まっている段ボールの他に、お茶や珈琲のケースや会葬御礼品などが積み込まれていた。
少しして隣りの車が発車し、それを見送った麻生さんは運転席に乗り込んだ。
「遅くなって申し訳ない」
「いえ、手伝わずにすみません」
社交辞令とも思える挨拶を交わし、車は静かに走り出した。
意外にも彼の運転は丁寧で、暖房が効いているのと心地良い車体の揺れと程良い体の疲れから、私はいつしかウトウトし始めていた。



