大久保店は郊外の国道沿いにある。
駅からは比較的近いが、運行している路線数は1本。
僻地にあるこの店舗の周辺は農家が多く、長閑な風景が広がる自然豊かな所だ。
そんな長閑な地域にJA系列の店とうちの(スーリール)店舗しかないのもだから、今日のような注文も日常茶飯事なのだ。
店長は男性社員と共にお弁当を運び出し始めた。
「どうするんだ?………帰ってもいいのか?」
「…………」
「……先輩」
「………お、お願いします」
「フッ」
「ッ?!」
今、奴は鼻で笑った。
勿論、それは私に対してに決まっている!
………ホント、ムカつく男だ。
踵を返した彼はドアの手前で足を止め、
「積み込みを手伝って来るから、帰る準備をしてくれ」
「…………はい」
「ありがとうございます!」
沈んだ私の声に反して、志帆ちゃんの声はやけに明るい。
そんな彼女に嫌味も込めてキッと睨むと。
「先輩!こんなチャンス、逃す手はありませんよ!!」
「はっ?………チャンスって?」
「だから~、こっちから誘いの連絡を入れなくても相手から来てくれたじゃないですか!」
「………」
「私、会社近くになったら適当な所で降ろして貰いますから、2人で少し話でもしたらどうですか~?」
「えっ……」
彼女の言葉に唖然としていると、
「彼を………落としたいんでしょ?」
「ッ!…………ん」
「じゃあ、頑張らないと!」
「……………ん」
誘導尋問のように返す言葉は『YES』しかないようだ。



