けれど、呆れるほどに静まり返っている。
普段は私語が飛び交う職場なのに、こういう時だけ貝のように口を閉ざす事務員。
私は奥歯を噛みしめ、噴火寸前。
すると、私の机の列の1番端からカラカラと椅子を引く音がした。
自然と視線が集中したそこには、椅子の背もたれに折り畳んだ膝掛けを掛ける志帆ちゃんの姿が。
そして、無言のまま私のもとへ歩み寄って来た。
「先輩」
「ん」
私も彼女と同じく、膝掛けを椅子の背もたれに掛けた。
「須藤さん、大久保店には私と相澤さんで向かいます。後の事はお願いします」
「ん、気を付けてね」
「はい、行って来ます」
私達は目も合わせないようにしている職員に睨みを利かせ、事務所を後にした。
須藤さんは、我が社の配送センターのセンター長の奥さんでもあり、事務長をしている人。
彼女は今日早番だけど、恐らく私達の穴を埋めてくれるに違いない。
優しくて気立てが良く、大らかで何でも相談出来る唯一の事務員。
事務所を後にした私と志帆ちゃんは私服に着替え、現場用のエプロンと帽子を持参して大久保店へと向かった。
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「悪いねぇ、わざわざ来て貰って」
「いえ、仕事ですから。直ぐに準備します」
大久保店に着いた私達は店長に挨拶を済ませ、事務所で身支度した。



