私は、来月の感謝祭セール用の特売商品のJANコードをパソコンに入力していると。
「早坂さん、紺野部長から2番にお電話です」
「はい」
私は外線2番を押し、電話に出た。
「お疲れ様です、早坂です」
「ん~、お疲れ。早坂悪いんだが、これから大久保店に2名ほど送り込んでくれるか?」
「大久保店に2名ですか?どうかされたんですか?」
「葬儀が1件入って、仕出し用の人出が足りないそうだ」
「仕出し要員ですね?」
「あぁ。日中のパートも帰ってしまったし、平日だから学生バイトも少なくてな。誰でもいいから遅番から2名送り込んでくれ」
「はい、了解です」
「悪いなぁ、宜しく頼むよ」
「失礼します」
エリア統括マネージャーである紺野部長からの要請。
大久保店というのは郊外にある店舗で、その地域は昔から葬儀の際に仕出し用のお弁当を振る舞う地域でも有名。
平日の夕方から夜にかけてという事もあり、人手が少ない時間帯。
レジが混み合う時間帯は、青果や鮮魚担当の社員でさえレジに立つ。
大久保店とは、そんな雰囲気の店舗だ。
私は受話器を置き、席を立つ。
「紺野部長からの要請です!大久保店で仕出し用2名、時間にして3~4時間です。遅番で行ける人は居ますか~?」
フロア全体に響き渡るように声を張り、職員を見回す。
けれど、一向に手が上がる気配も声がかかる気配も無い。
私は今一度声を張り上げ、部長からの指示を伝達した。



