『恋』や『愛』とは言い難い私の今までの経験。
当時は本気で好きだと思っていたけど、今思うとそれさえも良く分からない。
雰囲気に流されていただけかもしれない。
そんな私が、あの百戦錬磨のような毒舌男を落とす事が出来るとは到底思えない。
『恋』がどういうものなのか、『愛』がどういうものなのかさえ……分からないのに。
その後、出勤前まで延々と作戦を練り、早めの昼食を済ませた私達は職場へと自宅を後にした。
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「おはようございま~す」
「おはよう」
いつもと変わらぬ事務所の風景………だと思ったが、女子社員の鋭い視線が向けられている。
やっぱり、昨日の今日だから仕方ないよね。
彼はこの職場の王子様的存在だし、何より浮いた話が1度も無いので彼女達の期待感も大きい筈。
それが、私みたいな平凡な女と宴会場から抜け出したんだから噂になっても仕方がない。
痛い視線は覚悟の上よ。
でもここは聖域である職場。
私はプライベートを職場に持ち込まない主義。
仕事中は与えられた仕事を完璧にこなす。
どんなに難しい指示でも出来る限り全力でこなす。
決して言い訳をせず、常に誠心誠意を尽くす。
それが、早坂小町だ。
16時を過ぎた頃、1本の電話が掛かって来た。
「ありがとうございます。スーリール・管理課木崎がお電話お受け致します」



