「ここには、姉夫婦の魂があると思うの」
「………はい」
「だから、私は……あの子達を育てながら、いつでもここから同じ景色を見続けられるようにと思って……」
「それで、ここへお店を開いたんですね」
「そう。私、シスコンだったのかしら?」
お茶目な表情を浮かべた叔母様だけど、その瞳には涙が浮かんでいた。
「私、ここで彼からプロポーズされました」
「あらっ、そうなの?!」
「……はい。そんな想いが詰まっていただなんて全く知りませんでしたけど。ここは彼が1番好きな景色だって言ってました」
「………そう。あの子がね……」
声を震わせながら、叔母様は口元を手で覆った。
「あの……。今のお話を伺って思ったんですけど、もしかして、御命日って……」
「………来週よ。27回忌になるわ」
「………そうでしたか」
だから、どこか不安定だったのかもしれない。
時が経つにつれ、想い出は薄れてゆく。
けれど、刻まれた傷は中々消える事はなくて……。
倖せだった記憶よりも、残された傷の方が大きく感じるようになってしまったのかもしれない。
私に彼を、心の底から支える事が出来るだろうか?
ううん、しなきゃだよね?
彼が孤独を感じる事の無いように……。
私の全てで包んであげたい。
涙を堪え、グッと唇を噛み締めると。



