「私ね?若い頃に大病を患って、子供が産めない身体なの」
「……へっ?」
「だからと言ったら、あの子達に嫌われるかもしれないけど、姉夫婦には感謝してる」
「………」
「私に親になる倖せを味わわせてくれたから」
「………」
「でもあの子達を引き取ったのは、勿論それだけじゃないわよ?」
「…………はい」
一瞬苦笑した叔母様が、再び柔和な表情で窓の外の景色に視線を移した。
そして、テーブルの上にあったリモコンで照明を落とすと。
「ここから見える夜景、素敵だと思わない?」
「はい。とても綺麗です。初めて見た時にも思いましたけど、優しい光に見えます」
初めてここに来た時に感じた印象。
夜景って煌びやかな分、どこか淋しさも滲ませた印象があったけど、ここから眺める夜景はとても柔らかい色合いで、心が優しくなる景色だと思った。
叔母様の視線に煽られるように私も視線を窓の外へ向けると。
「昔はここ、ただの山だったのよ?」
「えっ?」
「無くなった義兄さんが、姉にプロポーズした場所なの」
「………え?」
「写真家だった義兄さんが、一番好きだった景色でね?『あそこのどこかに、俺らの光を灯さないか?』ってプロポーズしたんですって」
「素敵ですね」
この場所にそんな意味が込められていただなんて……。
涙で滲む視界を必死に眺めようと、私は手で目元を拭った。



