How much?!



事故の衝撃もあって母親は急に破水し、寝ていた碧さんを抱え、パニック状態の彼の手を握り締め、必死に車を降りてガードレールの外側へ移動したそうだ。


けれど、“GW”という行楽シーズンで高速道路は想像を超える渋滞と事故で現場は大パニックを起こし……。

更に、追突事故を回避しようとして路側帯にも停車した車に行く手を阻まれた救急車は、当然事故現場に到着するのが遅れて……。

そして、ご両親は帰らぬ人となったそうだ。


彼の話では“あまり記憶が無い”と言うが、恐らく思い出したくないのだろうと叔母様は言う。

目の前で両親が帰らぬ人となれば、相当のショックを受けたに違いない。

7歳。

恐らく、殆どの記憶が刻まれている筈。

ほんの数時間前までは倖せに満ちあふれ、誕生日を10日後に控え、心弾ませていたに違いない。

そして、生まれてくる筈の幼い命まで奪った出来事に、彼は口数少ない子供になってしまったとか。


そんな辛い出来事があったから、彼の運転はあんなにも丁寧なんだ。

そう思うと、胸が苦しいほどに締め付けられた。


「小町ちゃん、………大丈夫?」

「っ…………はぃっ……」


無数の涙が頬を伝う。

これ程の出来事を話させようとしてたかと思うと、余計に胸が苦しくなった。


人には触れて欲しくない事が1つくらいあるものだ。

私だって、不倫をしていた過去をまだ彼には話していない。

だけど、詐欺にも似たあんな出来事は、彼の過去からすれば些細な事なのかもしれない。

ううん、絶対そうだ。


嗚咽交じりの私を慰めるように背中を擦る叔母様。

その手の温もりがとても温かくて……涙が止まらなくなる。

すると、