見慣れた景色でも、今日ばかりは緊張せずにはいられない。
1人で来たというのもあるけど、彼に内緒で来たという事が私を責め立てる。
彼の過去を洗いざらい知りたいと言う訳じゃない。
人には言えないような辛い過去がある事くらい、私にだって容易に理解出来る。
だけど、付き合っているだけならまだしも、私と彼は結婚して夫婦になろうとしている。
だからこそ、納得して彼の妻になりたい。
辛い過去があるからこそ彼の支えになりたいし、そんな彼をいつでも笑顔で癒してあげたい。
だけど、今のままじゃ、癒すどころか不穏な空気にしか出来そうになくて。
私は緊張のあまり震えながらも、1歩1歩確実に真実へと歩み進めた。
市街地からかなり離れたここは木々に囲まれ、別世界にいるような錯覚に陥る。
4月下旬に差し掛かったとはいえ、丘陵地は少し肌寒い。
私はトレンチコートの襟を立てるようにして、身を縮込ませた。
既に23時を過ぎ、店の駐車場には数台の車があるだけ。
多分、そろそろオーダーストップの頃だと思うけど……。
レストランの閉店時間が24時というのもあって、私は敢えて遅番勤務の今日にした。
お店のドアを静かに開けると、綺麗な鈴の音が店内に響く。
「いらっしゃいませ~」
ゆったりとしたジャズが流れる店内から、見覚えのある女性が姿を現した。
「こんばんは、夜遅くに突然申し訳ありません」
彼の叔母様に丁寧に頭を下げると、



