「ちゃんと、彼と話し合った方がいいですよ」
「そうだね」
「先輩の考えは間違ってないと思いますけど、彼にも彼なりの考えがあるでしょうし」
「……うん」
「変に気を遣い過ぎて、別れを切り出したりしないで下さいね?先輩って、突然おかしな行動を取る所があるから」
「ちょっと、それは言い過ぎ「言い過ぎなんかじゃないですよっ!本当に目が離せないんですから!!」
「うっ……」
志帆ちゃんにピシャリと言い切られて、返す言葉も無い。
まぁ、彼女の言う通りなのかもしれないな。
とりあえず、彼とちゃんと話し合わなければ……。
その日の仕事帰り、彼のアパートで彼の帰りを待っていると。
「ただいま」
「おかえっんッ!」
帰って来るや否や、きつく抱き締められた。
ひんやりとする生地越しに彼の体温が伝わって来る。
夕食を作っていた私。
そんな私の腰に回された彼の指先が、するりとエプロンの紐を解きに掛かる。
「んっ……ちょっとヤダッ」
必死に彼の胸を手で押して抵抗する。
「ねぇ、煙草吸ったの?」
「え?………匂うか?」
「………ん、少し」
「今日は紺野部長とずっと一緒だったからな、匂いが移ったんだろう。悪い、すぐシャワー浴びて来る」
「うん、そうして?」
私は大の煙草嫌い。
煙も嫌いだけど、匂いがとにかくダメ。
尊敬する紺野部長でも、ずーっと一緒にいると吐気がして来るもの。
彼がシャワーを浴びてる間に、私は料理の仕上げに取り掛かった。



