彼女達が放心状態で持ち場へ戻って行くのを眺めながら。
「良かったの?……あんな言い方して。変に思われちゃうよ?」
「小町に好かれてれば、他の女なんてどうでもいいし」
「っ……」
平然とキザな台詞を吐く彼。
そんな彼の腕に志帆ちゃんが軽く小突いて……。
「麻生さん、見直しました!さっきのはカッコ良かったです。先輩の事泣かしたら、例え麻生さんでもボコりますからね?私、こう見えても合気道の師範の免状持ちですから」
「マジで?」
「はい」
「フッ」
「えっ?!そうなのっ??」
「はい。うちの実家は代々、合気道の道場をしてます」
「………初めて聞いた」
「はい、今初めて話しましたからね」
しれっと言う志帆ちゃん。
もう3年以上も付き合いがあるのに、私は彼女の事を何も知らないのかもしれない。
私が軽く放心状態でいると、
「相澤」
「はい」
「今まで小町を守ってくれて、ありがとうな」
「いえ、私が好きでした事なので」
「これからも宜しくな」
「はい」
安堵した様子の志帆ちゃんと、優しく微笑む彼。
そんな2人に挟まれた私は、倖せ者なのかもしれない。
ううん、言葉に出来ないくらいの倖せ者だ。
――――その後
彼が毒吐く素の部分を曝け出した事で、私への質問責めも中傷もピタリと止んだ。
けれど、それもつかの間………



