少しひんやりとするそこには、中央に大粒のダイヤがあり、その両側にそれを支えるようにダイヤが1粒ずつあしらわれている。

リング部分も結構な幅があり、豪華過ぎて存在感が半端ない。

彼に聞くまでもない。

………物凄く高そうな指輪だ。

私の指にジャストフィットしている事なんて気にも留めないくらい、その存在感に圧倒されてしまう。


「あっ、あの……」

「ん?」

「この指輪……………凄く高いですよね?」

「ん~、どうだったかなぁ~?」


照れを隠すように視線を泳がせる彼。

きっと、相当高いに違いない。


エンゲージリングって、月給の3ヶ月分って言うよね?


確か、皆川さんの月給が50万くらいって志帆ちゃんが言ってたから、3ヶ月分だと150万?!

自分の脳内で弾き出した金額に驚愕してしまった。

無意識に身体がビクッと反応した。


「ま、……まさかとは思いますけど、…………月給の3ヶ月分とか言いませんよね?」


私は恐る恐る彼の顔を伺った。


だって、そんな高価なモノ、私受取れない!!

というより、指輪をどこかへぶつけてしまいそうで怖すぎる。

仕事どころか、家事も出来ないし、おちおち寝る事も出来そうに無い。

失くしたらって考えるだけで、身の毛がよだつ。


まじまじと左手薬指に鎮座するそれに視線を向けていると。


「いや、3ヶ月分じゃ俺の気が納まらないから、年収の1/4にした」

「ふぇっ?!」