彼から香る柑橘系の香りに、思わず笑みが零れた。
この香りが彼から漂って来る間は、多分私は倖せでいられるのかもしれない。
……そんな風に思えてならなかった。
ゆっくりと腕が解かれると、お互いに照れながら視線が交わる。
何とも言えない、倖せなひととき。
彼は柔らかい笑みを浮かべながら、再び指先を髪へと滑らせてゆく。
その感触が堪らなくくすぐったくて、思わず肩を竦めると。
「ッ////」
チュッと艶めいた音を響かせ、額にキスをした彼。
途端に心臓がトクンと反応して、一瞬で顔が火照り出す。
額に触れた唇が少しずつ下へ伝ってゆく。
目尻に溜まっている涙を掬い取り、涙の痕跡を消すように頬を伝い降りて……。
そして、吐息が漏れ出すその場所へと辿り着いた。
久しぶりのキス。
軽く啄むようにされる口づけは、甘い痺れをもたらして―――。
ゆっくり味わうように彼のキスに応えると……。
何故か、スーッと感触が遠のいて行く。
自然と瞼を開けると、
「ごめん、これ以上無理。理性を制御出来そうに無い」
「なっ//////」
はにかんだ彼と視線が絡まった。
あのまま続けていたら……。
思考が暴走し始めて、一気に顔が火照り出す。
私、何を想像してるの?
思わず顔を隠すように手を頬に当てると。
「手」
「ッ?!/////」
彼の指先にはキラリと光るモノが……。
頬に当てた左手を彼へとゆっくり差し出すと、彼は満足そうにそれを薬指に嵌めた。



