受領印を押し終えた書類を手渡すと、
「今夜、メシどう?」
他の事務員に聞こえないように小さな声で呟いた。
慌てて顔を上げると、
「な?」
「…………ん」
ニカッと眩し過ぎる笑顔に釣られ、ついつい頷いてしまった。
「んじゃあな」
彼は去り際にさり気なく頭をポンと一撫でし、他の事務員の視線が注がれる中、颯爽と帰って行った。
すると、すぐさま一斉に向けられる鋭い視線。
……女って怖い。
別に彼の彼女でもないのに、ライバル視する視線が突き刺さる。
もうすっかり慣れてしまったそんな視線を無視して、再び業務に取り掛かった。
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「お待たせ、遅くなってごめんね」
私は相場との待ち合わせのお店に来ていた。
あの後、彼からメールで時間と場所の連絡が入っていて、私はそれに了承の返信をした。
「適当に頼んどいたけど、いい?」
「ん、好き嫌いないから大丈夫」
私の到着に合わせ、春の彩りご膳のコースが運ばれて来た。
同期会でも来た事のある店。
雰囲気も落ち着いていて、料理も美味しい。
ついつい雰囲気に呑まれて、箸も進む。
すると、
「なぁ、小町」
「ん?」
「いきなりなんだけどさ……」
「ん」
「俺、社内恋愛したいと思うんだけど、どう思う?」
「えっ?」
突然の言葉に箸が止まった。



