ふわりと背後から抱きしめられた。
「もう……いないかと思った」
「………待っててって、メモがあったから」
「それでも……」
抱きすくめられる腕が強まり、彼の体温が布越しに伝わってくる。
「朝ご飯、有難うございました。それに、エアコンも」
「べっ、別に……」
やはり、麻生さんは照れてるみたい。
少し熱い吐息が首筋にかかる。
彼の表情が見れないのが残念だけど、多分、見てしまったらはにかんで毒を吐くだろうな。
彼の腕にそっと手を添えて。
「また仕事に戻ります?」
「いや、今日はもう上がって来た」
「大丈夫なんですか?まだ、お昼ですよ?」
「あぁ、たまには休まないとな」
「………そうですね。お昼は?もう済ませました?」
「いや、まだ」
「じゃあ、何か作りますね?」
夕食を作ろうと思って材料を買って来たけど、お昼ご飯が先らしい。
「あっ、そう言えば……。さっきまで、碧さんがいたんですよ?」
「はっ?……碧に会ったのか?」
「はい。夕食でも作ろうかと買い物に出て、帰って来たらちょうど見えて……」
「碧のやつ、何か言ってたか?」
「えっ?…………特には………別に」
「………そう」
今ので上手く誤魔化せたかなぁ?
「きっ、着替えて来たら如何です?私はお昼ご飯でも作りますから」
「ん、そうするか」
彼はネクタイを緩めながら寝室へと向かって行った。



