「兄は素直じゃないし、毒は吐くし。それに、あぁ見えても今時珍しいほどに恋に奥手だから、心配してたの」
何て答えたらいいのか分からず、俯いてしまう。
「でもね、古い言い方かもしれないけど、“一途”って言葉は兄の為にあるように思うの」
「へ?」
「いい歳して彼女も作らないから叔母が心配して、今まで何度もお見合い話を持ち掛けたの。だけど、『好きな人がいるから』の一点張りで聞く耳も持たなかったし」
「ッ?!/////」
「それだけ、貴女の事を本気で想ってるって事よ」
「//////」
「少し性格の歪んだ兄ですが、………宜しくお願いします」
「えっ、あっ………はい、こちらこそ」
妹の碧さんは深々と頭を下げ、釣られるように私も深々お辞儀した。
その後、他愛ない話をして“電車が混む前に帰らないと”と言って、碧さんは帰って行った。
彼女が置いて行った袋を眺め、溜息が漏れ出す。
こんなに想われていて、私はどう返せばいいの?
『好き』と言ったくらいじゃ足りない気がして……。
ティーカップを洗いながら、気持ちの整理を図っていると。
――――カチャッ
今、玄関ドアが開く音がしなかった?
水道をキュッと止め、濡れた手を布巾で拭くと。
「ただいま」
「あっ、お帰りなさい」
やっぱり、さっきの音は彼の帰宅を知らせたものだったらしい。
スタッフジャンバー姿の彼がキッチンに姿を現した。
布巾をハンガーに掛けようとすると、



