「私、こう見えても調香師なんです」
「え?」
「主人がヘアサロンを経営してて、専属のアメニティグッズを作ってるんです」
「アメニティグッズをですか?」
「えぇ。シャンプーとかトリートメントは勿論の事、ボディソープとか石鹸とか。肌質や好みの香りを考慮して製品にしてるんです」
「凄いですね!!」
「フフッ、そんな大した事ではないんですけどね」
調香師という職業は聞いた事があるが、実際何をしてるかなんて知らない。
身近にそんな人はいなかったから余計に縁遠い存在だ。
「小町さんって、柑橘系の香りが好きでしょ?」
「えっ?…………あっ、はい。どうして、それを?」
「いつだったか、確か3年くらい前だったかなぁ?兄がいきなり、それまでミント系を好んでたのに『爽やかな柑橘系にしてくれ』って言い出して」
「へっ?」
「それから、ずーっと同じ配合で作ってるんですよ?」
「ッ?!/////」
「兄は貴女に好かれたい一心で……ね?」
「//////」
「今日持って来たこれは、貴女へのプレゼントみたいよ?」
「えっ?」
「同じ香りで女性用のシャンプーセットを作るように命じられましたから」
「ッ/////」
「ラッピングしなくていいって言ってたから、多分、この家用の置きボトルだと思うんだけど」
「なっ///////」
きっと今の私、完熟トマトより赤いはず。
彼の優しさも身に余るほどの想いも伝わってくる。
碧さんの顔が真っ直ぐ見れなくなってしまった。



