「ごめんなさい、驚かせてしまって。兄から聞いてます。早坂小町さんですよね?」
申し訳なさそうに話す彼女に小さく頷くと、
「重ね重ねごめんなさい。私、妊婦なので階段を往復するのはちょっと……」
「えっ、……あっ、はい!」
「兄の部屋にいらしたんですよね?」
ニコッと微笑む彼女に照れながら小さく頷くと、
「私に遠慮せずに上がって下さい」
「………いいんですか?」
「勿論!!部屋でお待ちしてますね」
彼女は手招きするように微笑んだ。
私は彼女の言葉に釣られて、再び階段を上る。
さっきとはまた別の緊張感に駆られながら。
所帯じみた格好で初めて会うだなんて。
何とも複雑な心境。
とにかく、妹さんに嫌われないようにしないと……。
麻生さん、早く帰って来て!!
内心ヒヤヒヤのまま、彼の部屋に到着した。
緊張しながらドアノブを回し玄関に入る。
「お邪魔します」
「あのっ、紅茶で良かったかしら~?」
「あっ、はい。あっ、いや、緑茶で!!」
キッチンの方から彼女の声が聞こえて来た。
私は慌てて声のする方に駆け寄って、先程購入した桜餅を取り出した。
「良かったら、ご一緒しませんか?」
「あっ、桜餅だ!私、和菓子大好物なんです♪」
彼女は可愛らしい笑顔で桜餅が入ったパックを手にした。



