階段口からこっそり覗き込んでいた私は放心状態になってしまった。
視界に映る彼女が本命なら、私は遊びだったって事?
彼ほどのイケメンなら有り得る話だ。
ううん、いない方が変なのかもしれない。
だけど、まさか………。
自分の目が信じ難くて、膝から崩れるように壁に凭れ掛かると。
鞄についていたチャームがステンレスのフレームに当たってしまい、思いのほか大きな音が響いてしまった。
すぐさま手元を押さえようとするが、両手を塞ぐ袋が邪魔して上手くいかない。
慌てて視線を戻すと、ドアの前にいる彼女とバチッと目が合ってしまった。
―――不味い、バレたッ!!
私はすぐさま踵を返して階段を駆け下りると、
「あのっ、待って下さいっ!!」
「ッ!!」
日中の静かな住宅街に響く彼女の声。
とても澄んだ可愛らしい声だった。
私とは正反対のような彼女。
柔らかそうなふんわりミディアムボブの栗色の髪。
スラリとした長身で、お腹が目立たなければモデルかと勘違いする程の美貌。
私は現実に打ちのめされた気がして、必死に階段を駆け下りると。
「私っ!!麻生大和の妹ですッ!!」
「………………へっ?!」
階段口の手すりから身を乗り出すようにして、彼女の声が降って来た。
――――妹?
それ、本当??
駐車場まで駆け下りた私は足を止め、恐る恐る振り返り、仰ぎ見た。
すると、階段口で会釈する彼女と視線が交わる。
唖然とする私に、彼女は………



