「好きだからとか、気に入ってるとかは関係ない。お前の仕事ぶりを真摯に評価したまでだ」
「………ホントですか?」
「あぁ。俺は仕事には手を抜かない主義だ。……お前もそうだろ?」
「………はい」
私が仕事に対して真面目に取り組んでいる姿を見ててくれたなんて……。
やっぱり、彼は……私を『早坂小町』として見てくれている。
「あの、今さらですけど………有難うございました」
「フッ、礼を言われる筋合いは無い」
彼の言う通りかもしれないけど、やっぱり嬉しいもの。
正当な理由で推薦して貰えた事に心の底から嬉しさが込み上げる。
倖せな余韻に浸る私の頭を優しく撫でて、彼はテーブルの上のゴミを片付け始めた。
「あっ、手伝います!」
「いいよ、座ってて」
「でも……」
「じゃあ、珈琲淹れて?」
「あっ、はい!」
彼の後を追うようにキッチンへと。
お湯を沸かしてカップを温め、その間にフィルターの用意をすると……。
「なぁ、小町」
「はい?」
「何もしないから泊まってけよ」
「へっ?」
彼の言葉に反応するように振り返ると、ダイニングテーブルに凭れる彼と視線が交わった。
「悪い、酒が入ってて送ってやれない」
「あっ、大丈夫です。まだ終電にも間に合うし……」
「いや、そういう問題じゃねぇだろ」
「え?」
「こんな時間に1人で帰せないって言ってんの」
「っ……」
腕組みをしている彼は優しい表情で諭すように口にする。
女性として扱ってくれているというより、“特別な女性”的な意味合いで聞こえてしまうのだから……私は相当重症なのだろう。



