データ集積の最終チェックをして、時間を確認。
そろそろお茶出しの時間だ。
今日は午後に食品部の選定会が2件執り行われる予定で、その都度、業者とスタッフ用にお茶出しをする。
お茶出しと言っても自社ブランドのペットボトルのお茶だけど、これが意外にも美味しい。
そのボトルが入った外装をしっかり持って、大会議室の前に。
中からまだ声が聞こえてくるから、もう少しここで待つ事になりそうだ。
待つ事数分。
入口のドアが開き、中からぞろぞろと取引業者の方々が出て来た。
「こんにちは、お世話になります」
笑顔で会釈すると、その中の1人に昨日昼間に行き会った浩二の姿があった。
選定会に参加していたらしい。
昨日のお礼も兼ねて声を掛けると、彼の肩越しに私の胸を高鳴らせる人物の姿がチラッと見えた。
今日は食品部門の選定会が行われる会場。
彼の姿があって当然だ。
だって、彼は食品部門のチーフバイヤーなのだから。
菓子メーカーと一般食品メーカーが入れ替わるように会議室内が慌ただしい。
なのに、彼は部屋の隅で腕組みをして椅子に腰かけている。
それはまるで、“俺に話し掛けるな”というオーラを放って。
菓子部の選定会で何かあったのだろうか?
それとも、連日の疲れが出て来たのか。
でも私が知る限り、彼は仕事はキッチリとこなす人だ。
常に冷静沈着で業者に八つ当たりしたりする人じゃない。
……だから、部屋の隅で気を落ち着かせているとか?
私はテーブルの上にお茶を配り終え、彼のもとに向う。
彼は相変わらず目を閉じたまま腕組みをしている。
「あのっ………麻生さん」



