「これ、やるよ」
彼が強引に私の手の上に小さな箱を乗せ、私の髪を一撫した。
「お誕生日おめでとう」
えっ………ちょっと、待って!!
今日が誕生日なのは、さっき自分で言ったから分かるとしても。
手のひらに鎮座している小箱様は一体何者?
見るからに高級そうな感じが漂って来てるんですが……。
すると、ぶっきら棒に『要らねーのか?』と尋ねて来た。
恐らく、照れて恥ずかしいのだろう。
誕生日プレゼントで用意したモノでなくても、今日のタイミングで貰えた事が嬉しい。
ううん、違う。
ホントは、今日じゃなくても嬉しいんだ。
男の人にプレゼントを貰うなんて………何年振りだろう?
昨日の浩二に貰ったチケットはプレゼントとは言い難い代物だから、ノーカウントにして……。
その箱を開けてみると、中にはハート形したピアスが入っていた。
最近ピアスをしてなくて、そろそろ穴が塞がるんじゃないかと思ってたから。
私の耳朶ちゃんはきっと大喜びだね。
何ていう石か尋ねてみると“アンダルサイト”という名の石らしい。
帰ったら速攻で調べないと。
不意に彼の視線を辿ると、ちょうど0時を告げた。
誕生日って、いつから歳を1つ重ねるのか解らない。
生まれた時刻?
曖昧な考えよりも、私は誕生日という日を過ぎた時が歳を重ねた時だと思っている。
だから、私は今………30歳になった。
そんな事を彼に告げると、またもや優しい言葉が返された。
ホント、今日はどうしたんだろう?
誕生日だから気を遣ってくれてるの??



