映画を観終った私達は、再び彼の車に乗り込んだ。
お互いに終始無言のままで、居た堪れなくなった私は視線を窓の外へと向けた。
今日が誕生日だと言ったら重い女だと思われるかな?
『少しドライブして帰りませんか?』と言えたらいいんだけど……。
そんな事でさえ、躊躇してしまう。
彼女でも無ければ友達……でもない気がして。
映画館でのやり取りを思い出して、顔に熱が籠る。
………私、大胆な事したなぁ。
でも、女の子ならあんな風に言われたらきゅんとしちゃうよ。
無駄にイケメンなのが悔しい。
雰囲気に流されたって事にしておこう。
……うん、それが無難だよね。
自分に言い聞かせるようにして、状況を整理した。
自宅アパート前に停車した車。
ライトも消され、エンジン音とお互いの息遣いだけが響く。
ちゃんと御礼は言わないと。
私は意を決して今日のお礼を口にした。
すると、彼から思わぬ一言が返された。
「いや、たまには息抜きも必要だしな」
「えっ?………ホントに息抜きになりましたか?」
「………あぁ、なったよ」
彼は優しい表情で私の頭をポンポンと。
そんな顔されたら誤解しちゃうじゃない。
一瞬で顔が上気したのが分かる。
恥かしさのあまり自分の手元に視線を落とした。
どう切替したらいいのかなんて、経験値が少なすぎて分からないよ。



