「俺らも色々あったんだよ」
「………そうなんだぁ」
「でもさ、お互いに傍にいて欲しいと思うのは1人しかいないって気付いて……」
浩二の言葉が胸に響いた。
傍にいて欲しい……か。
「私、明日……誕生日なんだよね」
「えっ、マジ?」
「ん。20代最後の日くらい、素直になってみようかな」
「………いいんじゃね?自分と向き合うってのも必要だしな」
「ん」
「あっ、そうだ!」
浩二は徐に財布を取り出した。
「おっ、まだ間に合う!小町、これやるよ」
「えっ?」
「明日まで無料で見れる映画のチケット」
「………いいの?」
「あぁ。俺、仕事で行けないし。誘ってみれば?」
「誰を?」
「誰をって、気になるそいつを」
「………」
「誕生日だから、自分に素直になるってのもアリだと思う」
「………ん」
「まぁ、無理にとは言わねぇけど、待ってるだけじゃ倖せはやって来ねぇぞ?」
「………そだね」
「んじゃあ、俺そろそろ行くな?」
「あっ、うん。ありがとね」
浩二は片手を上げ、作業に戻って行った。
美園店からの帰りの車内。
志帆ちゃんに浩二とのやり取りを話すと“誘うべきだ”と念を押された。
連絡を取ってみようかな?と思ってたけど……。



