何やら胸元に違和感を覚えた。
えっ………コレって、まさか………だよな?
脳細胞が未だかつて無いほどにフル稼働している。
だって、だって、だって………。
今俺が羽織っているコートのボタンが外された気がするんだが……?
今すぐ目を開けて確認したい衝動に駆られるが、もしかすると、コートの上から殴るより、ダイレクトにみぞおちにパンチしたいのかもしれない。
俺は必死に平静を装って、じっとしていると……。
んッ?!!
えっ……ちょっと………どうなってんの?
コートの前が軽く開かれ、身体との隙間に彼女の腕が滑り込んで来た。
そして、唖然としている間に俺の身体に腕を回した彼女。
俺は今――――彼女に抱きつかれている。
何これ、どういう事?
彼女のしたい事って、俺に抱きつきたかったって事?
そうなのか?
えっ、マジで?!
尋常じゃないほど心臓が暴れ狂ってるのが彼女にバレてしまう。
俺はどうしたらいいんだ?!
大パニックに陥ってる間に、あっという間に1分が過ぎたようで……。
スーッと心地いいぬくもりが去って行った。
そして、何事も無かったように外されたボタンが留められた。
「ありがとうございました」
「………もういいのか?」
「…………はい」
何て声を掛けていいのか悩みあぐねる。
何故だかは分からないが、敢えて触れない方がいいような気がした。
すると――――。



