「わぁ、凄く綺麗な色ですね。何て言う石ですか?」
「…………アンダルサイト」
「アンダル……サイト?」
聞き慣れぬ石の名前に首を傾げる彼女。
俺もこれを買う時に初めて知った。
市場には殆ど出回らず、ジュエリーコレクターが最近注目し始めた貴重な石らしい。
だから、俺はあの店で“同業者”と勘違いされたんだ。
この石の持つ意味は『大団円』
終わり良ければ全て良しという意味で、過程はどうであれ、結果は最高の形を導くとされている。
人生のグランドフィナーレ。
俺のもとに飛び込んで来てさえくれれば、俺が残りの人生をかけて倖せにするという意味を込めている。
「意味とかは知らないから、知りたきゃ自分で調べろ」
「あっ、はい!」
角度によって輝く彩光は多色で、気品のある色目から落ち着きのある色目まで放つ輝きは無限。
一見和風な色合いに見て取れる石に秘められた輝きは、まるで彼女そのもの。
俺は一瞬で惹かれたんだ。
まるで彼女がそこにいるみたいで……。
彼女はその場でピアスをして、
「似合いますか?」
「ん」
素っ気なく返すと、フッと柔らかい笑みを浮かべた。
時計に視線が留まると、ちょうど0時に切り替わった。
そんな俺の視線に気づいた彼女。
ほんの少し肩を竦めながら、
「とうとう30代になっちゃいました」
「………そうだな。でも、そんなに気にすることねぇーよ」
「え?」



