翌日18時過ぎ、店舗廻りを終え、俺は直帰していた。
そもそも当初から、今日ばかりは何が何でも早めに上がると決めていた。
だって、今日は彼女の30歳の誕生日なのだから……。
帰宅して直ぐにシャワーを浴び、出掛ける準備を施す。
髪をワックスで軽くアレンジし、服はキメ過ぎずラフだけどカジュアルに纏め上げた。
そして、彼女への誕生日プレゼントをコートのポケットに忍ばせ、俺は逸る気持ちで自宅を後にした。
約束の19時を少し回った頃、待ち合わせ場所に到着。
ハザードランプを点滅させ、路肩に停車させると……。
―――コンコンッ
助手席の窓ガラスをノックする彼女。
窓越しに見える彼女は、いつにも増して綺麗に見えた。
俺が助手席のドアを開けると、彼女はニッコリ微笑みながら助手席に乗り込んで来た。
「お疲れ様で~す」
「遅くなって悪かったな」
「そうですか?時間通りだと思いますけど」
彼女はいつもと変わらない表情でシートベルトを締めた。
「映画は何時から?」
「特に決まってないです。今日中に観れれば大丈夫です」
「そっか。じゃあ、先にメシにするか。小町は食べたか?」
「いえ、まだです」
「じゃあ、シネマ近くの店で食うとするか」
「はい」
すっかり恋人同士のようなフランクな会話。
今日が彼女の誕生日だという事も忘れそうになる。
それくらい自然で、さっきまでの緊張が嘘のようだ。
俺達は映画館の隣りにあるレストランで夕食をとる事にした。



