「それ、アンタの趣味?」
「はっ?」
彼は人差し指を上下させて、私の服に視線を向けた。
如何にも『お前、似合ってねぇぞ』と言わんばかりの視線で。
そりゃあ、三十路寸前の私がこんなミニスカートを穿いてたら痛い女に見えてもおかしくないけど。
でも、それを本人目の前にして触れるなんて……やっぱり最低だ!
次は何を言われるのかとビクビクしていると、
「そうだなぁ………。今日のアンタは100円ってとこか」
「はぁッ?!……100円ってどういう意味よ?!」
男性が女性の見た目を判断する基準って、**点みたいな点数じゃないの?
100円?………何それ!!
意味が分からない。
不快感を露わにし、彼を見据えると……。
「さっきアンタにビールを注いで貰った分の価値って事」
「はぁ~~ッ?!」
「大瓶1本300円として、さっき俺が手にしてたグラスは6オンスタンブラーだから約170mlの容量だろ。大瓶が633mlだから大目にみて3分の1ってとこだ。だから、1杯のお酌が100円ってわけ」
「んッ!!」
マジでムカつく野郎だ!!
私の価値がお酌1杯分ですって?!
食品部門のバイヤーだから、常に量と価格が脳内を飛び交ってるのは理解出来ても……!!
人を、女性を価格で表すなんて、本当に最低最悪な奴!!
1発ぶん殴ってもいいですか?
引き攣る頬を必死に堪え、平常心を保とうと深呼吸すると……。



